日本夜尿症・尿失禁学会の歴史

「日本夜尿症・尿失禁学会の歩み」

学術組織としての誕⽣と発展
⽇本夜尿症・尿失禁学会は、1990年7⽉に東京で開催された第1回⽇本夜尿症研究会から始まった。夜尿症の病態解明、診断・治療の標準化、そして社会的理解の促進という志をもって、⼩児科医・泌尿器科医らが全国から集結し、症例や研究を持ち寄る形で活動が始まっ た。その後、1995年7⽉、活動の拡⼤と学術的基盤の充実を背景に、「⽇本夜尿症学会(The Japanese Society on Enuresis)」として正式に組織化され、⽵内政夫初代理事⻑(前橋⾚⼗字病院⼩児科)のもと新たな発展段階を迎えた。2010年に⾦⼦⼀成理事⻑のもと、時代の必要性に準じて「国際化委員会」「渉外委員会」「保険薬事委員会」が新たに設置され、学術団体としての充実と、国⺠の皆様への啓発活動の推進が図られた。発⾜時154名であった会員数は、医師のみならず看護職、臨床⼼理⼠等の多職種が参画する学際的組織へと成⻑し、現在では500名を超える学会となった。
学術基盤の確⽴と国際展開
1996年には学会機関誌『夜尿症研究(ENURESIS)』が創刊され、我が国の夜尿症研究の 学術的基盤が確⽴された。国際的な学術交流も積極的に推進され、1997年の第8回学術集会においては渡辺泱先⽣を会⻑としてInternational Enuresis Symposiumが併催され、世界中の夜尿症研究者が京都に集まった。2007年には京都で第1回⽇韓夜尿症学会学術集会を開催、その後も定期的に両国で開催し積極的に交流を深めている。また、International Children's Continence Society(ICCS)との積極的な国際交流についても、2015年6⽉には⽇本初のICCS教育セミナー「ICCS on Enuresis and Incontinence」を⽇本夜尿 症学会・⽇本⼩児泌尿器科学会との共催で開催した。さらに2016年6⽉には、河内明宏先⽣と⾦⼦⼀成先⽣を共同会⻑として京都で第25回⽇本⼩児泌尿器科学会総会・学術集会とICCS年次総会のジョイントミーティングを開催し、⽇本で初めてのICCS年次総会として175名の国際的参加者を迎え、活発な国際交流が始まった。
診療標準化への学術的貢献
2005年の初版『夜尿症診療のガイドライン』刊⾏を⽪切りに、2016年版では診療アルゴリズムとクリニカルクエスチョンを導⼊し、単⼀症候性夜尿症に焦点を当てた『夜尿症診療ガイドライン2016』を刊⾏した。さらに2021年度版では、Minds(Medical Information Network Distribution Service: 医療情報ネットワーク提供サービス)に準拠した科学的⼿法を全⾯的に採⽤し、システマティックレビューに基づくエビデンスの質評価と推奨度決定を導入し、国際基準に合致したガイドラインを実現した。新時代への展開 2022年6⽉、学会は「⽇本夜尿症・尿失禁学会(The Japanese Society on Enuresis and Incontinence)」 へと名称を変更した。近年の研究により、夜尿症患者の約 30〜40%は昼間の 症状も伴う⾮単⼀症候性夜尿症であることが明らかとなり、夜尿症診療においては昼間症状の評価と治療が不可⽋であることが認識されるようになった。この改名は、夜間睡眠中の尿失禁である夜尿症のみならず、昼間の尿失禁を包括的に診療・研究する時代の到来を反映したものである。

現在、 内藤泰⾏理事⻑(8代⽬、京都府⽴医科⼤学泌尿器科)のもと、研究の推進、社会啓発、教育企画の刷新を通じて、次世代医療への貢献を⽬指している。

理事⻑
  1. 初代 ⽵内政夫 先⽣(前橋⾚⼗字病院⼩児科)(1995年〜2001年)
  2. 2代⽬ 帆⾜英⼀ 先⽣(東京都⽴⺟⼦保健院⼩児科)(2001年〜2004年)
  3. 3代⽬ ⾚司俊⼆ 先⽣(埼⽟県⽴⼩児医療センター腎臓科)(2004年〜2010年)
  4. 4代⽬ ⾦⼦⼀成 先⽣(関⻄医科⼤学⼩児科)(2010年〜2016年)
  5. 5代⽬ ⼤友義之 先⽣(順天堂⼤学練⾺病院⼩児科)(2016年〜2019年)
  6. 6代⽬ 河内明宏 先⽣(滋賀医科⼤学泌尿器科)(2019年〜2022年)
  7. 7代⽬ ⼤友義之 先⽣(順天堂⼤学練⾺病院⼩児科)(2022年〜2025年)
  8. 8代⽬ 内藤泰⾏ 先⽣(京都府⽴医科⼤学小児泌尿器科)(2025年〜)